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【起点】 宮城県道42号築館栗駒公園線表掛(御沢)登山道入口(宮城県栗原市栗駒沼倉、旧いこいの村跡地手前)
【距離】 約7.3km
【登山口標高】 800m
【標高差】 826m
【累積標高差】 約900m
【難易度】 体力 ★★★☆☆  技術 ★★★☆☆  危険 ★★★☆☆
【その他の情報】 水場 なし  鎖場 あり(綱)
【携帯電話】 Docomo 一部のみ  au 一部のみ  Softbank 一部のみ

【登山道概要】
古くから信仰の山として崇められた栗駒山の最も古い登山道のひとつで、かつては駒の湯温泉(栗原市耕英)を起点として、登りは表掛(御沢)登山道、下りは裏掛(新湯)下山道が利用され、古の登山者は栗駒山を周遊していました。
この登山道は平坦な森林歩きに始まり、登山道前半は「御沢」という名のとおり、約1.5kmの沢(渓流)を遡行するもので、石飛八里(いしとびはちり)と呼ばれています。その名の由来は、人の背丈以上の大きな岩がごろごろした沢を、岩を飛び跳ねながら登ることから名づけられました。
御沢と大日沢出合いから、険しい岩登りとなり、栗駒山の登山道で最も危険な「はしご滝」に至ります。脆く滑りやすい急斜面なので、両手で綱を利用しないと登られません。滑落しないように注意しましょう。
そこから、また小さな沢を遡行して少しずつ高度をあげていきます。遠くに黒い岩稜帯が見えてきたら、表掛・大地森分岐と御室に至ります。登山道後半の見所である御室は、9月まで雪渓が残り、少しづつ解けゆく場所から新しい花が次々と咲き誇る高山植物の宝庫。春の花が夏や秋に咲いたり、春夏秋の花を同時に見ることができ、秣岳(天馬尾根)と並ぶ花の名所です。
御室からは、向かって右手の滑落の危険がある岩稜帯の下を通らず、虚空蔵山方面へ向かい、虚空蔵十字路を経由して安全な登山道をたどります。約45分で須川分岐(天狗平)へ至り、山頂まで展望の良い稜線歩きを楽しむことができます。
おすすめの時季は雪渓が消えかけ、沢の水量が減少する8月から10月頃までです。
登山道は距離約7.3km(虚空蔵十字路を経由しないと約7.1km)と長く、途中に避難小屋も避難路もありません。御沢から御室までは危険な箇所も多く、他の登山道よりも技術と体力が要る、中級者以上向けの本格的な登山道です。
初心者は経験者の同伴なしで立ち入ることは控えたほうが良いでしょう。また、専ら登山道として利用し、下山道として利用しない方が賢明です。登山の場合は登山口を遅くても7時までに出発し、下山の場合は山頂を9時までに出発できない場合、他の登山道を利用すべきです。そして、視界不良時や降雨後は沢が増水するため危険です。特に、雪渓がなくなる梅雨明けまでは、超上級者向けで、初心者は怪我や遭難すること必至です。

【標準所要時間】 登り315分 下り275分
登り(下り)
1.登山口 ~70分(60分)~ 2.御沢入口 ~120分(120分)~ 3.御沢・大日沢出合い ~50分(40分)~ 4.表掛・大地森分岐 ~10分(5分)~ 5.御室 ~5分(5分)~ 6.虚空蔵十字路 ~40分(30分)~ 7.天狗平(須川分岐) ~20分(15分)~ 8.栗駒山山頂
※ 一般的な登山者の歩行時間が基準で、人により大きな差があります。休憩時間は含みません。
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登山口 駐車場
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旧いこいの村直下、宮城県道42号築館栗駒公園線脇にある登山口
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道路脇にある駐車場。30台以上駐車できます。
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登山post以外の設備はありません
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綺麗に刈り払われた登山口

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1.登山口 ~70分(60分)~ 御沢入口
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登山道は広葉樹の森から始まります
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鬱蒼とした森が陽射しを遮ってくれます
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山毛欅や朴、栃など森林浴が楽しめます
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山毛欅の巨木が出迎えてくれます
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いくつかの小さな沢を渡ります
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登山道はよく整備され、要所要所に標識が
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登山口から30分くらいで岩魚沢へ
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わかりやすい表示板があります
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残雪期は道が分かりにくいです
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緩やかな方斜面の登山道が続きます

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2.御沢入口 ~120分(120分)~ 御沢・大日沢出合い
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登山口から約70分で御沢に到着します
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御沢の入り口は川床から鉱泉が出て硫黄の臭いが
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赤い矢印に従って無数の石を飛び越えて進みます
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石飛八里、直径1mを超える石がごろごろと
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水はとても澄んでいますが、生水の飲用は避けましょう
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残雪期はsnow bridgeを踏み抜かないように細心の注意が必要
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残雪期や梅雨時は水量が多く危険です
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御沢の中間点あたりから遡行が難しくなります
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赤い矢印に従って無数の石を飛び越えて進みます
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御沢の遡行(約1.7km)は約2時間を要します
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大人の背丈を超える石がごろごろしています
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上流になると川幅が狭くなり、遡行が難しくなります
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水はとても冷たく、水没は避けたい
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御沢は沢の両岸が絶えず崩落し続けています
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岩手・宮城内陸地震の傷跡と思われる崩落跡
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残雪期はsnow bridgeを踏み抜かないように細心の注意が必要
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残雪期は超上級者向けです
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梅鉢草(ウメバチソウ、ユキノシタ科)
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水芭蕉(ミズバショウ、サトイモ科)
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紫八汐躑躅(ムラサキヤシオツツジ、ツツジ科)

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3.御沢・大日沢出合い ~50分(40分)~ 表掛・大地森分岐
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御沢入り口から約120分で御沢・大日沢出合いへ
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5〜6月頃の御沢・大日沢出合い
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御沢・大日沢出合いから山頂が見えます
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左側の御沢を遡行します。右側の大日沢には進入禁止の案内が
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沢はとても狭くなります
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5〜6月頃まで完全に雪に覆われています
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岩登りが困難な場所は、左側の崖を高巻きます
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沢はとても狭くなり、傾斜がきつくなります
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両側とも崖崩れで落石注意
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左側は滑りやすいので立入禁止です
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登山道最大の難所、はしご滝。雪解け水が冷たいです
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はしご滝の上部は、両手を使わないと登れません
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残雪期のはしご滝
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残雪期は垂直の壁となって立ちはだかります
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はしご滝を越えると少し展望が開けます
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小さな沢沿いに歩きます
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このあたりは登山道が判りにくくなっています
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岩についた苔がとても滑りやすいので注意
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残雪期には深い沢が完全に雪に覆われます
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崩れやすい登山道
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斜面はもろく草で滑りやすいので注意
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とても滑りやすい箇所には綱が
高度をあげると視界がどんどん開けてきます
高度をあげると視界がどんどん開けてきます
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御沢・大日沢出合いから約30分で御室の岩稜が見えてきます
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5〜6月頃の御室(虚空蔵山方向)
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5〜6月頃の御室
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5〜6月頃の御室(山頂方向)
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表掛・大地森分岐手前から振り返る。5〜6月頃

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4.表掛・大地森分岐 ~10分(5分)~ 御室
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御沢・大日沢出合いから約50分で表掛・大地森分岐
6〜8月頃の御室(山頂方向)
6〜8月頃の御室(山頂方向)
分厚い雪渓が夏の終わりまで残ります
分厚い雪渓が夏の終わりまで残ります
9月頃まで雪渓が残ることも
9月頃まで雪渓が残ることも
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御室、そこは高山植物の宝庫です
秋の御室(虚空蔵山方向)
秋の御室(虚空蔵山方向)
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秋の御室
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秋の御室( 山頂方向)
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御室の岩稜帯
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雪渓の下に滑り落ちないように注意
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水芭蕉(ミズバショウ、サトイモ科)
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岩鏡(イワカガミ、イワウメ科)
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小岩鏡(コイワカガミ、イワウメ科)
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白根人参(シラネニンジン、セリ科)
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御室を彩る高山植物
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小梅蕙草(コバイケイソウ、ユリ科)
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長葉栂桜(ナガバツガザクラ、ツツジ科)
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岩銀杏(イワイチョウ、リンドウ科)
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綿菅(ワタスゲ、カヤツリグサ科)
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青の栂桜(アオノツガザクラ、ツツジ科)
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岩弟切(イワオトギリ、オトギリソウ科)
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赤物(アカモノ、ツツジ科)
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雛桜(ヒナザクラ、サクラソウ科)
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立山竜胆(タテヤマリンドウ、リンドウ科)

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5.御室 ~5分(5分)~ 虚空蔵十字路
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表掛・大地森分岐から御室まで10分もかかりません
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標識があります
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駒形根神社の奥の院とされる御室
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御室では岩稜帯から水が染み出しています
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御室から御沢方向(秋)
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御室から大地森方向(秋)
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御室の岩稜と雪渓(山頂方向)
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御室の岩稜と雪渓(虚空蔵山方向)
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雪渓の下
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御室の大雪渓から見下ろす風景(6月)
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虚空蔵十字路方向
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雪渓が残る時期
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虚空蔵山
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虚空蔵十字路までは刈り払いされ歩きやすい登山道
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御室から岩稜に沿って登る登山道
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登山道は荒れているため通行禁止です
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通行禁止の案内
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大量の雪で浸食され滑りやすくなっています
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岩稜帯から御室を振り返る
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山頂を右手に見ながら高度を上げます
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道は不明瞭で崩れやすく、滑りやすいので注意
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残雪期、雪渓はいたるところに口を開き危険です
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秋の様子
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御室から約30分で虚空蔵十字路からの道と合流します

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6.虚空蔵十字路 ~40分(30分)~ 須川分岐(天狗平)
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虚空蔵十字路、山頂まで約2km
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虚空蔵十字路から北(山頂方向)
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虚空蔵十字路から東(御室方向)
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虚空蔵十字路から西(湯浜登山道方向)
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虚空蔵十字路から南(虚空蔵山)
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残雪期の登山道
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雨による浸食が激しく、荒れています
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高度を上げると展望が良くなります
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西に見えるのは鳥海山
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西には神室連峰も見えます
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虚空蔵山と南奥羽を振り返る
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残雪期の虚空蔵山と南奥羽
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御室からの最短路との分岐
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御室からの最短路との分岐(南方向)
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展望の良い稜線歩きを楽しめます
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登山道は少し崩落しているので視界不良時は注意
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天狗平(須川分岐)直下
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御室(残雪の駒姿)を振り返る
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残雪期の御室方向
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残雪期の大日沢と御沢方向
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三葉黄蓮(ミツバオウレン、キンポウゲ科)
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長葉栂桜(ナガバツガザクラ、ツツジ科)
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岩鏡(イワカガミ、イワウメ科)
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紫八汐躑躅(ムラサキヤシオツツジ、ツツジ科)
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岩梅(イワウメ、イワウメ科)
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岩梅(イワウメ、イワウメ科)
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大葉黄菫(オオバキスミレ、スミレ科)
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高嶺桜(タカネザクラ、別名=ミネザクラ、バラ科)

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7.天狗平(須川分岐) ~20分(15分)~ 栗駒山山頂
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天狗平(須川分岐) 。5つの登山道が分岐する場所です
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砂礫の広場は山頂までの最後の休憩場所として使われます
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天狗平(須川分岐)から東(山頂)方向
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天狗平(須川分岐)から西(天馬尾根=秣岳)方向
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天狗平(須川分岐)から南(表掛、大地森、湯浜)方向
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天狗平(須川分岐)から北(須川)方向
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標識、視界不良時でも、登山道が分かります
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登山道はよく整備されています
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登山道の目印となる二つの大きな岩、天狗岩
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南側の御室方面。天狗岩を過ぎると視界が開けます
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振り返ると、鳥海山、月山、朝日連峰が遠望できます
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山頂まであとわずか。登山道はよく整備されています
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北西側には、天馬尾根、秣岳、龍泉ヶ原、彼方に鳥海山
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北側には、昭和湖、須川高原温泉、名残ヶ原、焼石連峰
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南西側は奥羽山脈の山々が重畳と
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登山道を振り返ると紅葉の絨毯が
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東方向。紅葉最盛期の山頂へ続く稜線
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西方向。天馬尾根の稜線と秣岳、龍泉ヶ原、彼方に鳥海山
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南方向。南斜面の尾根は真っ赤に色づきます
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北方向。北斜面も赤く染まります。焼石連峰へ続く峰々
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山頂、夏山
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山頂手前から右手(南側)が崖で、この稜線は風が強いので注意
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転落防止用に綱が張ってありますが、視界不良時は要注意
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稜線を振り返ったところ
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夏の終わりごろ、山頂付近の登山道脇はお花畑に
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高嶺桜(タカネザクラ、別名=ミネザクラ、バラ科)が疲れを癒します

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8.栗駒山山頂
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数百人も立つことができる広い山頂。立派な標柱があります
数百人も立つことができる広い山頂。立派な標柱があります
標柱より少し北にある一等三角点
標柱より少し北にある一等三角点
東(岩手県一関市、宮城県栗原市)の方角。北上山地を遠望できます
東(岩手県一関市、宮城県栗原市)の方角。北上山地を遠望できます
西(秋田県、山形県)の方角。鳥海山、月山、朝日連峰、神室岳が見渡せます
西(秋田県、山形県)の方角。鳥海山、月山、朝日連峰、神室岳が見渡せます
南(宮城県栗原市)の方角。大崎平野、仙台平野まで見渡せます
南(宮城県栗原市)の方角。大崎平野、仙台平野まで見渡せます
北(岩手県一関市)の方角。焼石連峰、早池峰山、岩手山が見渡せます
北(岩手県一関市)の方角。焼石連峰、早池峰山、岩手山が見渡せます
紅葉最盛期などは撮影待ちで大混雑します
紅葉最盛期などは撮影待ちで大混雑します
山開き直前。山頂は風当たりが強いため、雪は早く消えます
山開き直前。山頂は風当たりが強いため、雪は早く消えます