四葉鵯から吸蜜する浅葱斑(自然観察路)
四葉鵯から吸蜜する浅葱斑(自然観察路)

浅葱斑は、翅にある淡い浅葱色(あさぎいろ)のまだら模様が名前の由来の美しい蝶です。
栗駒山では初夏から初秋にかけて、四葉鵯(よつばひよどり)等の花に集まり吸蜜する姿が見られます。特に自然観察路や湯浜登山道、天馬尾根(秣岳)登山道などの樹林帯ででよく見かけます。
 
浅葱斑は、毒を持つ植物を食べることで自身を毒化し、鳥類から捕食されることを防ぐ珍しい習性を持っています。
この蝶はまた、渡り鳥のように季節により長距離移動する、珍しい蝶として知られています。春は南から北へ、秋は北から南へと、適温の環境を求め渡りを繰り返します。驚くのはその飛行距離で、南西諸島や台湾、香港あたりの中国大陸から海を越えて、2,500km以上も飛来する個体がいます。
さらに驚くことに、成虫(羽化後)の寿命は4~5カ月に過ぎず、1世代で往復することは出来ないという事実。すべての浅葱斑にとって、片道の渡りが最初で最後の体験なのです。親世代や仲間から経験を伝えられることはなく、きっと遺伝子に刻み込まれた本能で海を渡る浅葱斑の習性は、驚異的で神秘的ですらあります。
 
栗駒山南側がある自治体の栗原市と台湾中央部の南投市には、共に浅葱斑が生息しています。2020年秋に姉妹都市提携を結ぶ両市が、浅葱斑のように活発に往来し、世代を超えて交流が続きますように。そして、国境に関係なく飛来する浅葱斑の蝶のように、香港が自由に往来できる都市であり続けることを祈ります。

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